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橋梁点検の頻度はどのくらい?点検方法や法規制なども解説

橋梁点検の頻度はどのくらい?点検方法や法規制なども解説

橋梁点検は、私たちの生活の安全を支える重要な社会インフラの維持管理において、重要な取り組みです。全国には約70万橋にも及ぶ橋梁があり、その多くが高度経済成長期に建設されており、経年劣化への対応が急務となっています。


本記事では、橋梁点検の頻度や法規制など解説していきます。


橋梁点検とは
橋梁点検とは

まずは、橋梁点検の基本的な考え方から、その種類や特徴について見ていきましょう。

意味

橋梁点検とは、道路法第42条に基づき、道路管理者が実施する橋梁の維持管理のための調査活動を指します。構造物の健全性を確認し、損傷や劣化の程度を評価することで、適切な維持修繕計画の立案に活用。橋梁の安全性を確保するための最も基本的な取り組みと位置付けられます。

目的

橋梁点検の主な目的は、橋梁の安全性と機能性の確保です。

 

定期的な点検により、損傷や劣化を早期に発見し、適切な時期に必要な対策を講じることで、道路利用者の安全を確保します。さらに、点検結果の蓄積により、効率的な維持管理計画の策定と予算の最適配分が実現できます。

点検の種類

橋梁点検には、実施時期や目的に応じていくつかの種類があります。それぞれの特徴を理解し、適切に組み合わせることで、より効果的な維持管理が実現できます。

日常点検

道路パトロールの一環として定期的に実施される基本的な点検活動を指します。

 

主に道路パトロールカーからの目視により、橋梁の明らかな異常や損傷の有無を確認。最も基本的な点検として、日々の状態変化の把握に重要な意味を持ちます。異常を発見した際は詳細な記録を残し、必要に応じて詳細点検や応急措置へとつなげていきます。

異常時点検

異常時点検は、地震、台風、集中豪雨、豪雪などの自然災害発生時や、重大な事故発生時、または通報や日常点検で重大な異常を発見した際に実施する臨時の点検です。

 

緊急性の高い損傷や異常の有無を確認し、迅速な対応へとつなげます。とりわけ災害発生後は、道路の供用可否を判断する重要な基準となります。

法定点検

道路法施行規則に基づく定期点検として実施が義務付けられています。

 

5年に1回の頻度で近接目視による詳細な点検を実施し、結果を健全度によって4段階(健全、予防保全段階、早期措置段階、緊急措置段階)に分類。この評価に基づき補修・補強などの対策を検討していきます。専門的な知識と技能を有する者による点検が必要となり、結果の確実な記録と保存も欠かせません。

橋梁点検の頻度とは
橋梁点検の頻度とは

橋梁を安全に維持管理していくためには、適切な頻度での点検実施が不可欠です。ここでは、法令で定められた点検頻度や、効果的な点検計画の立て方について説明していきます。

法律による規定

2014年7月に施行された省令により、2m以上のすべての橋梁について5年に1回の近接目視点検が義務化されました。この規定は全国約70万橋を対象としており、道路管理者による適切な維持管理が求められています。点検は必要な知識と技能を有する者が行うことが条件となり、結果の確実な記録と保存も重要です。

推奨される頻度

法定の定期点検に加え、中間点検の実施も推奨されています。

 

定期点検を補完する目的で、定期点検の中間年に実施し、既存の点検設備や路上・路下からの目視を基本とした点検を行います。また、直近の定期点検結果に基づき、特に注意が必要な箇所の重点的な確認を通して、効率的な維持管理につなげることが可能です。

橋梁点検の方法とは
橋梁点検の方法とは

橋梁点検を効果的に実施するためには、適切な方法と手順に従うことが重要です。ここでは、実際の点検現場で必要となる機材から具体的な点検手順まで詳しく説明します。

必要な機材

近接目視を基本とする橋梁点検では、安全確保と正確な点検のために様々な機材が必要となります。

 

基本的な装備として、ヘルメット、安全帯、安全チョッキ、作業着などの安全装備を準備します。点検用具としては、デジタルカメラ、クラックスケール、点検ハンマー、打音棒などが欠かせません。

 

また、大型の橋梁や接近困難な箇所の点検には、橋梁点検車や高所作業車などの特殊車両も活用されています。

費用

点検費用は橋梁の規模、構造形式、点検の難易度などによって大きく変動します。特に近接目視点検では、足場の設置や特殊車両の使用が必要となる場合もあります。

 

そのため、国土交通省は自治体の財政負担軽減のため、防災・安全交付金による支援を実施しています。また、複数の橋梁をまとめて点検することで、コスト削減効果も期待できます。

期間

点検期間は橋梁の規模や構造によって異なりますが、一般的な流れとして事前準備、現地点検、結果の整理・評価、報告書作成という段階を踏みます。

 

近接目視による詳細点検では、天候や交通規制の調整も必要となり、鉄道や河川を跨ぐ橋梁では関係機関との協議に時間を要することもあるでしょう。

手順

点検は以下の手順で進行します。

  1. 点検計画の策定 

過去の点検記録を確認し、必要な許可申請や関係機関との調整を行います。その上で交通規制計画を立案し、点検実施の準備を整えていきます。

  1. 現地での近接目視点検

まず橋梁全体の概況を把握した後、各部材の詳細な損傷状況を確認します。写真による記録を行い、必要に応じて打音検査や触診も実施していきます。

  1. 健全性の診断

部材ごとの損傷程度を評価し、構造物全体の健全性を判定します。適切な対策区分の選定が可能です。

  1. 記録と報告

点検調書の作成、写真台帳の整理を行い、健全性診断結果を記録します。記録された情報は、今後の維持修繕計画に反映されます。

 

橋梁点検の頻度を上げるメリットとは

適切な頻度での点検実施は、橋梁の安全性確保と効率的な維持管理につながります。次に、具体的なメリットについて説明します。

トラブルの防止

定期的な点検により、損傷や劣化の進行を早期に発見することが可能です。

 

とりわけ、遠望目視では見つけにくい細かな損傷も、近接目視によって確実に把握できます。特に疲労亀裂や腐食などの進行性の損傷は、早期発見・早期対応が重要となり、重大な事故やトラブルの未然防止につながるでしょう。

橋梁の維持

適切な頻度での点検実施により、橋梁の状態を継続的に把握することが可能です。

 

劣化の進行速度を正確に判断し、最適なタイミングで必要な対策を講じられます。さらに点検データの蓄積は、より精度の高い維持管理計画の策定を実現し、橋梁の長寿命化とライフサイクルコストの低減に有効です。

まとめ

橋梁点検は、道路インフラの安全性確保に不可欠な業務といえます。

 

法令で定められた5年に1回の定期点検に加え、日常点検や異常時点検を適切に組み合わせることで、効果的な維持管理を実現します。今後は新技術の活用による点検の効率化や、データの蓄積・活用による科学的な維持管理の発展が期待されています。

 

道路管理者には、これらの点検を確実に実施し、安全で持続可能な道路インフラの維持に向けた取り組みが求められていくでしょう。

 

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